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【健康事典】 《第07章ー脳・自律神経》身体の司令塔!【後半】

後半では脳や脊髄を作っている「神経細胞」とその働きの元になっている「神経伝達物質」について分かりやすく解説します。

脳の構造や機能については前半で解説していますので、気になる方は是非そちらもご覧ください。

前半はコチラ↓
vegi.hatenablog.com



脳や脊髄には多数の神経細胞があり、その数は脳全体で約1000億個と推定されています。

また、神経細胞同士は「シナプス」と呼ばれる構造で繋がっており、複雑なネットワークを作り上げています。

では、そんな神経細胞はどんな種類・構造をしていて、どのように情報をやり取りしているのか、分かりやすく解説いていきます。


神経細胞ニューロン


神経細胞の構造

神経細胞は、図のようにトゲのある形をしています。

細胞本体は「細胞体」、トゲは「樹状突起」と呼ばれます。

また、神経伝達に関わっている突起を「軸索(突起)」と呼びます。軸索は通常、一つの神経細胞には一本しかありません(途中で枝分かれする場合はあります)。

また、軸索に「髄鞘」と呼ばれる、脂質で出来たカバーがあります。
中には、髄鞘を持たない神経細胞も存在しています。
この髄鞘には、電気を通さない性質があり、
電気信号は髄鞘を飛び越えながら伝わるため、
髄鞘がない場合に比べ、伝導速度が速いという
特徴があります。

神経伝達とシナプス

神経細胞同士は、軸索を介して情報を伝達しています。

神経細胞(軸索)の中では情報は「電気信号」として伝わりますが、

神経細胞神経細胞の間は電気信号は伝わりません。

しかし、情報を伝える側(シナプスニューロン)の軸索の先端と、受けとる側(シナプスニューロン)の神経細胞との間には特殊な構造があります 。

この構造を「シナプス」と言います。


神経伝達物質

神経伝達物質とは

神経細胞が情報伝達の為に合成する物質のことを「神経伝達物質」と呼びます。

神経伝達物質シナプスニューロンの軸索の先端から分泌されます。

シナプスニューロンには神経伝達物質を受けとる受け皿(受容体)があり、ここに神経伝達物質が結合することで、情報の伝達が行われているのです。

神経伝達物質には、神経を興奮させ、その働きを増強するもの(興奮性伝達物質)と過剰な興奮を抑制するもの(抑制性伝達物質)とがあります。


神経伝達物質の主な種類

神経の働きを増強するもの(興奮性伝達物質)

ドパミン 「快感や多幸感を得る」
「意欲を作ったり感じたりする」
「運動調節に関連する」
といった機能を担う脳内ホルモン。
ノルアドレナリン ドパミン代謝されてできるホルモン。
体性感覚野にて感覚の認識に関わる。
海馬にて記憶の形成にかかわる。
前頭前野にて注意や衝動性の制御にかかわる。
後述するアドレナリンと同じ作用も有する。
アドレナリン ノルアドレナリンがさらに代謝されてできる
ホルモン。
副腎髄質から分泌され、交感神経系を刺激する。
その結果、血圧上昇、心拍数増加、呼吸数増加、
血糖値上昇、消化管運動低下、瞳孔の散大を
引き起こす。
アセチルコリン 脳内では、記憶の定着や、思考、集中力の維持、
睡眠・覚醒の調節にかかわる。また、
ドーパミンを分泌する神経の働きを調節する。
副交感神経系を刺激する。これにより血圧低下、
心拍数低下、消化管運動亢進、瞳孔の収縮
を引き起こす。
セロトニン ドパミンノルアドレナリンの働きを調節し、
感情や攻撃性を制御すると考えられている。
大部分は腸管に存在し、腸の運動を調節したり、
血液中では血小板の働きを調節したりしている。
グルタミン酸 大脳皮質や海馬、小脳に広く分泌され、
その働きの興奮性の調節を担っているとされる。
また、神経が損傷した時の再生(可塑性)に関わるとされる。
グルタミン酸により神経が興奮しすぎると、
神経細胞は自ら死んでしまう。
この細胞死が脳梗塞てんかん緑内障の原因とされる。



神経の働きを減弱するもの(抑制性伝達物質)

γーアミノ酪酸
(GABA)
興奮性伝達物質の刺激が一定量を越えるか、
興奮が一定時間を越えると分泌される。
過剰な興奮を抑える役割をしている。
精神の安定や睡眠の質に深く関わっている。
グリシン 脳内ではグルタミン酸の働きを調節
脳幹や脊髄に多く存在し、骨格筋や
平滑筋の動きを制御している。

この他にも神経伝達を担う物質はたくさんあります。

これらの物質が、バランスを保ちながら働いていることにより、
私達の行動や感情、記憶、睡眠、そして身体の機能全体を
制御・調節しているのです。

しかし、生活習慣の乱れや加齢などの原因で、
このバランスが崩れてしまうことがあります。

神経伝達物質のバランスの乱れが原因の疾患

うつ/双極性障害
長期間ストレスにさらされる事による
ノルアドレナリンセロトニンの減少が
原因の一つで、これが意欲の低下や気分の落ち込みに
関係しているとされています。

統合失調症
幻覚や妄想などの症状はドパミンの過剰分泌が原因と
考えられています。また、セロトニンの過剰な働きが原因で、
意欲の減退や感情が鈍くなるなどの症状が
起こるとされています。

パーキンソン病

パーキンソン症候群
ドパミンの量が少なくなると、筋肉を上手く動かせなくなり、
手足がこわばる、震える、姿勢が保てないなどの症状が出ます。
このような症状は総称してパーキンソン症候群
(パーキンソニズム)と呼ばれ、特に脳内の
ドパミンを分泌する神経細胞が減る事が原因
の場合をパーキンソン病と呼びます。

アルツハイマー認知症

アセチルコリンが減少することにより、
記憶・認知能力が低下するとされています。
また、神経細胞内に異常なタンパク質が蓄積することにより、
グルタミン酸が過剰に分泌され、精神の乱れや
さらなる神経細胞の障害を引き起こす事が
知られています。

以上、神経伝達物質とそのバランスが乱れる事によって起こる疾患
について解説しました。

各々の疾患については、他の記事でも解説していますので、

より詳しく知りたい方は各々のリンクからご覧下さい!

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