べじぶろぐ 〜健康への道しるべ〜

健康ついての情報や知識をまとめています。

【健康事典】《第08章ー骨・骨髄》人体の基本骨格!【前半】

第08章では「骨」について分かりやすく解説していきます。

骨は身体の中で最も硬い組織で、私たちの身体を支え形作って

います。また骨の中心ににある組織が「骨髄」で、こちらも

とても重要な役割を担っています。


前半は「骨」の構造や身体での作られ方(壊され方)について
解説していきます。

「骨髄」については後半で解説しますので、

骨の事をもっと知りたい方はコチラまご覧下さい。

後半はコチラ↓
vegi.hatenablog.com


そもそも、全身の骨はどのような構造になっているのでしょうか?

全身の骨格

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私たちの身体には約200個(新生児では約350個)の骨があります。

各部位の名称

代表的な骨の特徴

頭蓋骨

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成人では28個、新生児では45個の骨から出来ています。
それぞれの間には「骨縫合」と呼ばれる骨の
継ぎ目があり、繊維状で、
産道を通る時に移動出来る様になっています。

ヒトの脳は生後1年で出生時の約2倍
4歳頃には約4倍に成長します。
この成長に合わせて、骨縫合では骨が
形成され、少しずつ頭蓋骨も大きくなります。
そして、年齢と共に骨同士が融合し、
骨縫合は徐々に閉鎖(消失)していきます。

脊柱(背骨)

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26個の椎骨からなり、頸椎(7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)、
仙骨尾骨から構成されています。骨と骨との間には「椎間板」
と呼ばれるクッションがあり、身体に受けた重力や衝撃を
軽減する働きがあります。

また、椎骨の真ん中は空洞で、
ここを、手足や内臓を動かすための神経が通っています。
神経が別れて出てくる椎骨の位置によって、
頸髄胸髄腰髄仙髄尾髄に分かれます。


肋骨(あばら骨)

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胸の左右に各12本ずつあり、肋骨は前側(腹側)では「胸骨」
という縦に長い骨と、後ろ側(背中側)では胸椎と繋がって
いてます。胸椎・肋骨・胸骨で構成されるカゴ状の構造は
「胸郭」と呼ばれ、肺や心臓など胸部の臓器を衝撃から守っています。

また、肋骨の間には筋肉があり、呼吸の時に伸び縮みし、
肋骨を上下させることで胸郭を広げたり狭めたりしています。

骨盤

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脊柱と大腿骨の間にあり、「腸骨」「恥骨」「坐骨」「仙骨
「尾骨」
からなる。腸骨・恥骨・坐骨は16~17歳頃に融合し
「寛骨(かんこつ)」と呼ばれる一体の骨となります。

寛骨には「寛骨臼(かんこつきゅう)」というくぼみがあり、ここに大腿骨が
はまり込んで股関節を形成しています。

また、骨盤は男女で最も違いがある骨でもあります。

男性 女性
骨盤の形 縦長 横長
骨盤の入り口 ハート形で狭い 横楕円形で広い
仙骨 幅は狭く、
突出している
幅は広く、
あまり突出していない
恥骨の角度 約60度 約90度
四肢(手足)の骨

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上肢:上腕は上腕骨、下腕は橈骨(とうこつ)尺骨(しゃっこつ)の2本からなります。

上腕骨 「二の腕」部分の細長い骨。肩甲骨と肩関節を形成する。
上腕骨がはまり込む肩甲骨のくぼみはとても小さいため、
ほかの関節に比べ肩関節の可動域は広いが、
その分不安定である。
尺骨しゃっこつ 下腕の小指側にある骨。
上腕骨と関節し肘関節を形成している。
橈骨とうこつ 下腕の親指側にある骨。
手の根元部分の骨と手関節を形成している。

下肢:上腿は大腿骨、下腿は脛骨(けいこつ)腓骨(ひこつ)の2本からなります。

大腿骨 太ももの骨。骨盤と関節し、股関節を形成する。
人体で最も長く強靭な骨である。
下端は脛骨に関節し膝関節を形成している。
脛骨けいこつ 下腿の内側全面、いわゆる「すね」部分の骨。
大腿骨に次いで2番目に長い。
腓骨ひこつ 下腿の外側背面の骨。脛骨に比べ退化しており、
脛骨の1/4ほどの太さしかない。
しかし、足首の柔軟な動きをサポートしたり、
歩行時の衝撃を緩和したりという重要な役割がある。

どちらも身体(胴体)に近い方が1本、遠い方が2本という構造になっています。この構造が、手足をねじるような複雑な動きを可能にしています。



骨形成と骨吸収

私たちの骨は日々形成吸収(破壊)が繰り返されています。
それは、代謝(古いものを壊し新しく作り替える)
血液中にミネラル分(カルシウムやリン)を補給する
ことと深い関係があります。

骨の組成

骨を作っている主な物質は「ヒドロキシアパタイト」「骨基質たんぱく質です。

ヒドロキシアパタイト:カルシウムとリンが結合してできた硬い物質。

骨基質たんぱく質:骨の基盤となる物質で、「コラーゲン」「オステオカルシン」などがあります。

骨形成

骨形成は「骨芽細胞」という細胞によって行われます。
骨芽細胞は骨の表面に存在し、骨の基盤となるたんぱく質を分泌します。
そこに、ヒドロキシアパタイトが沈着し、骨芽細胞の周りを固めていきます。
そして、骨芽細胞はそのまま骨の組織となります。

特に骨芽細胞は成長期の骨の発達や骨折時の骨の再生時には活発に働きます。

骨吸収

骨吸収は破骨細胞という細胞によって行われます。
破骨細胞には、
古い骨を壊す
骨芽細胞に合図を出して新しい骨に作り替える
骨を溶かしてカルシウムを血液中に送り出し、
血液中のカルシウム量を一定に保つ
という働きがあります。

骨形成と骨吸収のバランス

骨芽細胞による骨形成と、破骨細胞による骨吸収は
通常一定の均衡をな持ちながら骨の強度を維持しています。

加齢や閉経によりカルシウムの腸からの吸収が悪くなると、
骨吸収のスピードが骨形成を上回り、その結果骨密度が
低下してしまいます。これが骨粗しょう症です。

また、リウマチやガンの骨転移などでは、
破骨細胞が骨芽細胞との均衡を無視して産生
され続けるため、骨吸収が進んで関節や骨が破壊されます。

骨髄

骨の内部はスポンジのような網目状になっています。
この網目の隙間にあるのが「骨髄」です。

骨髄については、後半で分かりやすく解説します。

後半はコチラ↓
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#0007 花粉症薬はこうやって使い分ける!

皆さんこんにちは! Vegi(ベジ)です。


今年も花粉の季節がやってきましたね😖💦


目はショボショボ、鼻はズルズル🤧。


花粉症の症状って本っ当に辛いですよね😭


そんな症状をちょっとでも和らげてくれるのが、


そう、花粉症薬ですよね。


この時期の必需品になっている方は多いのではないでしょうか?


病院での処方だけでなく、市販でもたくさんの種類が販売されていますね。


いざ市販で購入するときに、


「どれを買ったらいいのだろう?」
「どの薬が自分の症状にあっているのか分からない」


と迷ってしまったこと、ありますよね。


そこで、今回は! 市販の花粉症薬の「特徴」と「使い分け方」を解説していきたいと思います!


※当ブログではお薬の成分の名前で記載しております。
成分名は商品の「成分・分量」の欄に書かれています。


①鼻水とくしゃみを止めたい!「抗ヒスタミン薬」


アレルギー症状を起こすヒスタミンをブロック。


鼻水やくしゃみ、痒みなど種々のアレルギー症状を


軽減してくれます。


ヒスタミン薬には、「第1世代」「第2世代」があります。


花粉症薬の主流!眠気が出にくい「第2世代」


現在販売されている花粉症薬の多くは「第2世代抗ヒスタミン薬」に分類されます。


第1世代に比べ中枢(脳)への作用が少なく、眠気が出にくいことが特徴です。


「フェキソフェナジン」「ロラタジン」「エピナスチン」「セチリジン」などがあります。


特にその中でもフェキソフェナジンとロラタジンは最も眠気が出にくいとされています。


しつこい症状に!作用が強めの「第1世代」


ヒスタミン薬として最初に開発されたので「第1世代抗ヒスタミン薬」と呼ばれています。


第2世代より、薬が効き始めるのが早く効果も強いが、副作用が出やすいのが特徴です。


眠気以外ではまれに、口の渇き便秘排尿障害などが起こることがあります。


ジフェンヒドラミン「d-クロルフェニラミン」があります。


第2世代を服用していて「効果がイマイチだな」と感じる場合は


第1世代の含まれる薬を試してみてもよいでしょう。



②毎日の使用で高い効果!「ステロイド点鼻薬


ステロイドとは、私たちの体内で分泌されるホルモンの一つである


「副腎皮質ホルモン」


をもとに薬として開発したものです。


即効性はない!


直接鼻にスプレーするお薬ですが、


「使ってみたけどあまり効果がないな・・・」


と思って使うのを止めてしまった、という方はちょっと待ってください!


それは間違っています。なぜなら、


ステロイド点鼻薬は即効性がないからです!


症状を抑えようと頓服的に使用しても効果がありません。


毎日しっかりと続けることで効果が得られるものです。


成分名は「フルチカゾンプロピオン酸エステル」です。


副作用は少ない


副作用はほとんどないと言われていますが、


鼻に感染がある場合、その感染を悪化させることがあること、


喉に薬剤が入った場合、喉の異物感(刺激感や乾燥感)


を引き起こすことがあります。



③即効性あり!ただし使い方注意!「血管収縮薬」


即効性のある点鼻薬として「血管収縮薬」があります。


鼻の血管を収縮させ、“一時的” に鼻のつまりを取り除く作用があります。


「ナファゾリン」「テトラヒドロゾリン」「オキシメタゾリン」などがあります。


使い過ぎに注意!!


特に注意したいのが、これらのお薬は


使いすぎると効果が出にくくなったり、
鼻詰まりを逆に悪化させてしまう


ことがあります。


使用は、症状が特につらいとき、


外出時や仕事などで特に症状を鎮めたい場合にとどめましょう。




如何でしたか?


「自分の使い方は間違ってるかも?」


と思ったそこのあなた!


一度使い方を見直してみて下さい!


あなたの症状が劇的に改善するかもしれません!


ではまた!!

【健康事典】 《第07章ー脳・自律神経》身体の司令塔!【後半】

後半では脳や脊髄を作っている「神経細胞」とその働きの元になっている「神経伝達物質」について分かりやすく解説します。

脳の構造や機能については前半で解説していますので、気になる方は是非そちらもご覧ください。

前半はコチラ↓
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脳や脊髄には多数の神経細胞があり、その数は脳全体で約1000億個と推定されています。

また、神経細胞同士は「シナプス」と呼ばれる構造で繋がっており、複雑なネットワークを作り上げています。

では、そんな神経細胞はどんな種類・構造をしていて、どのように情報をやり取りしているのか、分かりやすく解説いていきます。


神経細胞ニューロン


神経細胞の構造

神経細胞は、図のようにトゲのある形をしています。

細胞本体は「細胞体」、トゲは「樹状突起」と呼ばれます。

また、神経伝達に関わっている突起を「軸索(突起)」と呼びます。軸索は通常、一つの神経細胞には一本しかありません(途中で枝分かれする場合はあります)。

また、軸索に「髄鞘」と呼ばれる、脂質で出来たカバーがあります。
中には、髄鞘を持たない神経細胞も存在しています。
この髄鞘には、電気を通さない性質があり、
電気信号は髄鞘を飛び越えながら伝わるため、
髄鞘がない場合に比べ、伝導速度が速いという
特徴があります。

神経伝達とシナプス

神経細胞同士は、軸索を介して情報を伝達しています。

神経細胞(軸索)の中では情報は「電気信号」として伝わりますが、

神経細胞神経細胞の間は電気信号は伝わりません。

しかし、情報を伝える側(シナプスニューロン)の軸索の先端と、受けとる側(シナプスニューロン)の神経細胞との間には特殊な構造があります 。

この構造を「シナプス」と言います。


神経伝達物質

神経伝達物質とは

神経細胞が情報伝達の為に合成する物質のことを「神経伝達物質」と呼びます。

神経伝達物質シナプスニューロンの軸索の先端から分泌されます。

シナプスニューロンには神経伝達物質を受けとる受け皿(受容体)があり、ここに神経伝達物質が結合することで、情報の伝達が行われているのです。

神経伝達物質には、神経を興奮させ、その働きを増強するもの(興奮性伝達物質)と過剰な興奮を抑制するもの(抑制性伝達物質)とがあります。


神経伝達物質の主な種類

神経の働きを増強するもの(興奮性伝達物質)

ドパミン 「快感や多幸感を得る」
「意欲を作ったり感じたりする」
「運動調節に関連する」
といった機能を担う脳内ホルモン。
ノルアドレナリン ドパミン代謝されてできるホルモン。
体性感覚野にて感覚の認識に関わる。
海馬にて記憶の形成にかかわる。
前頭前野にて注意や衝動性の制御にかかわる。
後述するアドレナリンと同じ作用も有する。
アドレナリン ノルアドレナリンがさらに代謝されてできる
ホルモン。
副腎髄質から分泌され、交感神経系を刺激する。
その結果、血圧上昇、心拍数増加、呼吸数増加、
血糖値上昇、消化管運動低下、瞳孔の散大を
引き起こす。
アセチルコリン 脳内では、記憶の定着や、思考、集中力の維持、
睡眠・覚醒の調節にかかわる。また、
ドーパミンを分泌する神経の働きを調節する。
副交感神経系を刺激する。これにより血圧低下、
心拍数低下、消化管運動亢進、瞳孔の収縮
を引き起こす。
セロトニン ドパミンノルアドレナリンの働きを調節し、
感情や攻撃性を制御すると考えられている。
大部分は腸管に存在し、腸の運動を調節したり、
血液中では血小板の働きを調節したりしている。
グルタミン酸 大脳皮質や海馬、小脳に広く分泌され、
その働きの興奮性の調節を担っているとされる。
また、神経が損傷した時の再生(可塑性)に関わるとされる。
グルタミン酸により神経が興奮しすぎると、
神経細胞は自ら死んでしまう。
この細胞死が脳梗塞てんかん緑内障の原因とされる。



神経の働きを減弱するもの(抑制性伝達物質)

γーアミノ酪酸
(GABA)
興奮性伝達物質の刺激が一定量を越えるか、
興奮が一定時間を越えると分泌される。
過剰な興奮を抑える役割をしている。
精神の安定や睡眠の質に深く関わっている。
グリシン 脳内ではグルタミン酸の働きを調節
脳幹や脊髄に多く存在し、骨格筋や
平滑筋の動きを制御している。

この他にも神経伝達を担う物質はたくさんあります。

これらの物質が、バランスを保ちながら働いていることにより、
私達の行動や感情、記憶、睡眠、そして身体の機能全体を
制御・調節しているのです。

しかし、生活習慣の乱れや加齢などの原因で、
このバランスが崩れてしまうことがあります。

神経伝達物質のバランスの乱れが原因の疾患

うつ/双極性障害
長期間ストレスにさらされる事による
ノルアドレナリンセロトニンの減少が
原因の一つで、これが意欲の低下や気分の落ち込みに
関係しているとされています。

統合失調症
幻覚や妄想などの症状はドパミンの過剰分泌が原因と
考えられています。また、セロトニンの過剰な働きが原因で、
意欲の減退や感情が鈍くなるなどの症状が
起こるとされています。

パーキンソン病

パーキンソン症候群
ドパミンの量が少なくなると、筋肉を上手く動かせなくなり、
手足がこわばる、震える、姿勢が保てないなどの症状が出ます。
このような症状は総称してパーキンソン症候群
(パーキンソニズム)と呼ばれ、特に脳内の
ドパミンを分泌する神経細胞が減る事が原因
の場合をパーキンソン病と呼びます。

アルツハイマー認知症

アセチルコリンが減少することにより、
記憶・認知能力が低下するとされています。
また、神経細胞内に異常なタンパク質が蓄積することにより、
グルタミン酸が過剰に分泌され、精神の乱れや
さらなる神経細胞の障害を引き起こす事が
知られています。

以上、神経伝達物質とそのバランスが乱れる事によって起こる疾患
について解説しました。

各々の疾患については、他の記事でも解説していますので、

より詳しく知りたい方は各々のリンクからご覧下さい!

【健康事典】《第07章ー脳・自律神経》身体の司令塔!【前半】

前半では脳について分かりやすく解説します。


脳の働きについては非常に多岐にわたっており、現在でも研究が進められています。


今回は、代表的な働きについて、厳選して分かりやすく解説したいと思います。

脳の構造

脳は大まかに大脳、小脳、間脳、そして脳幹に分かれています。脳幹からは神経の束がお尻(尾骨)まで伸びていて、これが「脊髄」を形成しています。

各々の主な働き

脳幹

中脳、橋、延髄に分かれます。間脳も含めて脳幹と呼ばれることもあります。
ここには、「神経核」と呼ばれる、神経の塊(根っこ)が多数存在し、大脳と脊髄の中継地点となっていて、生命の維持に必要な機能のほとんどを司っています。

中脳 視覚神経、聴覚神経の中継地点。姿勢の保持や眼球運動の調節を担う。
顔の筋肉や唾液腺、味覚、聴覚、眼球運動の神経核が存在する。
延髄 嘔吐、嚥下、呼吸、循環、消化の中枢を担う。
自律神経の神経核が存在する。

間脳

脳幹の上部にあり、視床視床下部に別れます。ここには主に内分泌系の中枢があり、
ホルモン分泌の調節を担っています。

視床 嗅覚以外の感覚情報(聴覚、視覚、味覚、痛覚、触覚、温度感覚など)を大脳へ送信する中継地点であり、たくさんの神経核が存在する。
視床下部 内臓の働き、内分泌の働き、自律神経系の交感神経・副交感神経機能および内分泌機能の全体的な調整をしている。

小脳

後頭葉の下部、脳幹の後ろ側にあるのが小脳です。

小脳では身体の平衡感覚や、運動機能の伝達を司っています。
小脳に異変が生じると、手足がうまく出せなかったり、物がうまくつかめなくなります。

また、小脳はアルコールに弱く、お酒を飲むと千鳥足になるのはアルコールによって小脳がうまく機能しなくなるからだと言われています。

大脳


大脳皮質と大脳辺縁系

大脳の中心には海馬扁桃体側坐核などの組織があり、これらをまとめて「大脳辺縁系」と呼びます。そして、それを覆うように「大脳皮質」があります。

右脳と左脳
大脳皮質の中央には亀裂があり(大脳縦列)、左脳と右脳にわかれています。
大脳縦列には「脳梁」と呼ばれる、右脳と左脳の情報の連絡する神経の束が通っています。
一般に、言語中枢がある方を「優位半球」、そうでない方を「劣位半球」といい、右利きでは左脳が、左利きでは右脳が優位半球であるとされています。

大脳辺縁系

海馬
その名の通り、タツノオトシゴの形をしていて、記憶を司っています。海馬には新しい記憶が一時的に保存され、寝ているときにそれが整理整頓され、大脳皮質へと蓄積されていきます。

扁桃体
アーモンド状の形をした組織で、情動(特に恐怖や不安といったネガティブな感情)に深く関わっています。

側坐核
快感を感じたり報酬を求めたりする感覚を司る部分です。
また、γーアミノ酪酸(GABA)を産生し、脳神経の過度な興奮の抑制、調節を担っています。この働きが、ストレスや不安の軽減にも繋がっています。

大脳皮質

大脳皮質は前頭葉頭頂葉、側頭葉、後頭葉に分かれます。場所により役割が異なりますが、それぞれが神経ネットワークによって連携しています。

前頭葉

大脳の前部、頭頂部~目の上(眼窩部)あたりの部分です。 身体を動かす、言葉を話すといった、運動機能全般を担っています。 人類で一番発達している脳の部位でもあります。
前頭前野 自分や他人の感情や考えを理解したり、
それによる自分の行動を制御したりしている。
脳の各部位から送られてきた情報を統合して
判断・実行する。
一次運動野 身体の各部分の運動機能を制御している。
対応する体の部分を示した図は「ホムンクルス」と呼ばれ、
上から足、体、手、顔と逆立ちしたように並んでいる。
運動性言語野
(ブローカ野)
言語中枢があり、特に言葉を話す能力を制御している。


側頭葉


大脳の側面、こめかみ~耳の後ろ辺りの部分です。 聴覚や視覚の情報を処理する場所です。
一次聴覚野 音の高さや大きさ、リズムを認識し、処理する部分
感覚性言語野
(ウェルニッケ野)
言語を言語として認識する部分。この部分が障害されると、
音がしているのは認識できるが、雑音なのか言葉なのか
区別できなくなる。
側頭連合野 視覚情報から色や形を認識し、画像や人の顔の判別を行っている


頭頂葉


頭頂部のやや後ろに位置しています。 触覚や痛覚、温感など身体の感覚による情報を処理する役割を担っています。 また、大脳の各部位から送られてきた情報と感覚とを統合して処理する場所です。
一次体性感覚野 全身の感覚情報を認識する場所。一次運動野と同じように、
対応する部位が並んでいる。
頭頂連合野 感覚(一次体性感覚野から)と聴覚(側頭葉から)、
視覚(後頭葉から)などの情報を統合して処理する場所。
これにより空間を認識したり、
運動野と連携して運動機能の制御や調節を担っている。
味覚野 味の種類や濃さなど味覚情報が集まる。
これらの情報は大脳辺縁系や前頭連合野へ送られ、
過去の記憶と統合されて、味覚の認知や好き嫌いの決定が
なされる。


後頭葉


大脳の最後部に位置し、主に視覚情報を認識する場所です。
視覚野 網膜からの情報を直接受け取る場所。
視覚連合野 視覚野から送られてきた情報を整理する場所。
見た物の形状や色、明るさ、表面の性質などの情報は側頭連合野へ、
位置や構造、動きなどの情報は頭頂連合野へ送られる。
また、聴覚、触覚、嗅覚などの情報から、
イメージを作り出す(映像化)働きもあると言われる。

まとめ

脳の代表的な機能を解説しましたが、これはほんの一部です。

脳の機能は非常に複雑で、それぞれが緻密に連動しあって我々の認識する情報と行動、感情が結び付けられています。

後半ではそんな脳を構成する「神経細胞」と、

情報のやり取りの元となっている「神経伝達物質」について解説します。


↓後半はコチラ

【健康事典】 《第06章ー腎臓》身体の超高機能フィルター!

第06章では腎臓について見ていきます。


腎臓は腰の少し上の背中側に左右1つずつある、空豆の形をした臓器です。大きさは直径約10cm、幅約5cm、厚さは約3cm。


全身の血液が流れ込む腎臓では、身体に必要なものと不要な物を分ける、まさに「フィルター」の役割を担っています。1日に腎臓に流れ込む総血液量は約1000~1500Lにもなります。


そして、不要なものは「尿」となって身体の外へ排泄されます。


今回は、そんな腎臓の構造と仕組みについて分かりやすく解説します。

構造


腎臓は1つ当たり約100万個の「ネフロン」という組織が集まって出来ています。


さらに、「ネフロン」は、「糸球体」「ボーマン嚢」「尿細管」という組織で構成されています。

糸球体

細い血管が球状になったもの。糸球体への入り口の血管は「輸入細動脈」、出口の血管は「輸出細動脈」と呼ばれています。

「ボーマン嚢」

糸球体を包み込んでいる袋状の組織。糸球体から水分を濾しとる部分で、尿細管の起始部(始まりの部分)を構成している。

「尿細管」

ボーマン嚢から続く管で、各ネフロンの尿細管が集まって「集合管」となり、膀胱へ続いています。


では、これらの組織が一体どのようにしてフィルター機能を果たしているのでしょうか?その役割について見ていきましょう。

腎臓の役割


腎臓の役割を単刀直入にいうと「尿を作ること」です。
尿は2段階の「フィルター」を通して作られています。

第一フィルター 「ろ過装置」糸球体とボーマン嚢

腎臓に流れ込んだ血液はまず、「糸球体」へ送られます。糸球体には、多数のとても小さい穴があり、血液中の水分はここから漏れだして尿細管へ流れていきます(この時の水分を「原尿」と言います)。
原尿の量は1日に100~150Lにもなります。


しかし、赤血球や白血球などの血球成分や、アルブミンなどのタンパク質は通ることが出来ないため、血液中から漏れ出すことはありません。


糸球体を包み込んでいるボーマン嚢には圧力がかかっており、血液中から水分を搾り取る ような働きがあります。

第二フィルター 尿細管での「再吸収」

尿細管は糸球体側から、「近位尿細管」「ヘンレ係蹄(ヘンレループ)」「遠位尿細管」に分かれており、各々の場所で異なる役割を担っています。

近位尿細管

近位尿細管では、主に糖分、アミノ酸、重炭酸イオン*1が再吸収されます。

また、薬を服用した場合にも一部ここから再吸収される事があります。

ヘンレ係蹄(ヘンレループ)


馬の蹄(ひづめ)のような形をしている事からこの名前がついています。
ここでは主に、身体に必要なミネラル(ナトリウム、カリウム、塩素イオン)が再吸収されます。

遠位尿細管


ネフロンの最終部分に当たる遠位尿細管では、主に水分が再吸収されます。また、ヘンレ係蹄で吸収しきれなかったミネラルも再吸収されます。

最終的には


必要な物質が再吸収された後、残りは尿として排泄されます。その量は1日に約1.5L。つまり、原尿の99%は再吸収されていることになります。

まとめ


さて、ここまで腎臓で尿が作られる過程を解説しました。身体の老廃物は便へ75%、尿へ20%、汗へ2%、爪と毛髪へ各1%が排出されると言われています。こうしてみると、腎臓が身体にとってどれ程大切で重要な働きをしているかが分かります。


次章では「脳と自律神経」について解説します。
今回まで解説してきた臓器の働きを支配しているのは脳と自律神経です。

臓器の働きだけでなく、それを支配する脳や自律神経についても知りたい!という方はぜひ次章も読んでみて下さいね!


次章はコチラ↓
vegi.hatenablog.com

*1:重炭酸イオン :電解質の一つで、血液が酸性に偏らないよう保つ働きがあるアルカリ性の物質。

#0005 知っておこう! ~冷え症とその対策~ 第1回


皆さんこんにちは! ベジです。


いや~寒くなりましたね🥶


本格的に冬がやって来たという感じです。


さて、この時期になると悩まされる方が多いのが

❄️「冷え症」🐧

です。


筆者も末端冷え症で毎年悩まされております。


今回はそんな「冷え症」とその対策についてまとめました!


第1回は冷え症の種類と特徴を、第2回では部位別の対策方法をまとめましたので、是非参考にしてみてください。


「冷え症」の4タイプ


冷え症は主に4つのタイプに分けられます。あなたの冷え症の特徴、原因、症状は、どのタイプに当てはまるでしょうか???

四肢末端型

四肢末端型
特 徴 身体は温かいが、手足が冷たくなるタイプ
痩せ体型の方に多い。
原 因 疲労・ストレス・過度なダイエットにより
末端の血流が悪くなる。
主な症状 しもやけ、ニキビ、立ちくらみ、月経不順

下半身型(上熱下寒型)

下半身型イメージ
特 徴 腰から下が冷えるが、上半身は正常か、ほてりを感じたり
汗をかくこともある。
原 因 姿勢の悪さや長期間のデスクワークが原因で骨盤の歪みが
発生し、下半身の血行不良が起きる。
主な症状 むくみ、上半身のほてり、発汗

内蔵型

内臓型イメージ
特 徴 手足は温かいがお腹周りが冷えるタイプ。
小太りで良く食べる方に多い。
原 因 生まれつき副交感神経の働きが強い体質
腹部の手術で血行不良や組織の癒着がある
主な症状 疲れやすい、倦怠感、お腹の不調(便秘・下痢)、

全身型

全身型イメージ
タイプ 四肢の冷えと内臓の冷えが両方あり、
身体全体が冷えている。
原 因 食事量の不足や加齢による基礎代謝の低下
主な症状 基礎体温が低い、季節を問わず冷えを感じる

その他の型

この他にも、各タイプを合併した「混合型」や身体の一部分だけが冷える「局所型」などもあります。


ただ、どのタイプにも共通しているのは、ストレス・運動不足・不摂生です。


普段の生活を見直して、これらを改善していく事から始めてみましょう。


とは言え、何をすれば良いの???


第2回では、各々のタイプに合った対策をまとめておりますので、是非参考にして下さい!

タイプ別!対策

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#0004 「お薬がありません。」と言われたら?


皆さんこんにちは、ベジです。


昨今、ジェネリックメーカーの不祥事問題を受け、


ジェネリック医薬品の欠品が相次いでいます。


その煽りを受け、今や一部の先発医薬品まで不足する事態となっており、


薬局は薬の確保に追われる毎日です。


今回は調剤薬局が現在置かれている状況と、


実際にお薬がない時の対応策についてまとめましたので、


是非参考にしてみて下さい!


調剤薬局の現状


薬局では、いつも通りのお薬を出せるよう最善を尽くしております。


しかし、それでも入荷が厳しく


お薬を出せないことで患者様からお叱りを受けたり、


また長期処方により入荷してもすぐ無くなってしまったりと、


薬局は危機的状況に陥っております。


もはや、薬局だけでなく、


処方医の先生方や患者様にもご協力をお願いする事態です。


ではもし、


「お薬がありません」「入荷未定です」


などと言われた時、どうすれば良いのか?


薬局で対応出来る事や、


皆さんご自身でもやって頂ける事を


6つまとめましたので、是非参考にしてみて下さい。


お薬がない時の対応6選

①②③④は医療機関や薬局での対応が必要なこと、
⑤⑥は患者様ご自身でも対応可能な事です。


①別のメーカーのお薬への変更

お薬には、同じ成分・同じ剤形(剤形=錠剤、 カプセル、散剤、液剤などお薬の形状の事)のお薬でも、


複数の製薬メーカーから販売されている物があります。


ジェネリック医薬品後発医薬品)の場合、医薬品名の


◯◯◯◯錠△△mg「✕✕」


の 「✕✕」 にあたる部分がメーカー名になります。
(正しくは、「屋号」と言い、メーカー名の略称のようなものです。)


メーカーが違っても成分量や剤形が同じであれば、基本的にその効果は同じです。
(添加物の違いや体内動態の微妙な違いはあります。)

普段から在庫しているメーカーのお薬が入荷出来ない場合は、一時的に違うメーカーへ発注します。


②別規格、別剤形への変更

お薬には、


同じ成分でも規格(入っている主成分成の量)が異なるもの
同じ成分でもお薬の形が異なるもの


があります。


例えば、アムロジピン錠5mgを 1錠 服用しているとします。


これを、2.5mg 2錠にしても、


主成分(アムロジピン)としては5mg服用したことになります。


また、10mg 半錠でも同じです。


規格や剤形が違うものでも、


主成分が同じ分量であれば


基本的に効き目(強さ)は変わりません。
※但し、お薬の効き方(血中濃度の上がり方や代謝・排泄のスピード)は異なることがあります。


薬局にお申し出頂ければ変更できる事が多いですが、


場合によっては処方医への確認が必要な場合があります。


③他薬局からお取り寄せ(分譲)する

薬局によって在庫しているお薬が違うのは皆さんご存じかと思います。


現在、出荷が十分に確保出来ないお薬は、


卸売会社から薬局への入荷数が


普段から薬局に在庫している数に応じて割り当てられている状態です。


つまり、同じメーカーでも


薬局によって入荷できるお薬の数に


差が出来ていると言うことです。


例えば、A薬局でお薬が無くても、


B薬局に行けばそのお薬がある


という事は十分にあり得ます。


なので、薬局では


どうしてもお薬が手に入らない場合は


他薬局へお取り寄せの問い合わせをします。



④代替薬への変更

作用の仕方は違うお薬でも、効果が似ていたりして同じ症状に対して使われるものもあります。


例えば、

カルボシステイン(商品名:ムコダインなど)
フドステイン(商品名:スペリアなど)
アンブロキソール(商品名:ムコソルバンなど)
ブロムヘキシン(商品名:ビソルボンなど)

これらは全て「痰切り薬」として使用されますが、すべて作用の仕方は異なります。


成分の異なるお薬になるので、変更には必ず処方医への確認が必要になります。



⑤他薬局へ行って貰う


在庫のないお薬が多すぎるなど、


場合によっては、患者様ご自身で


他の薬局をお探し頂くのも方法の1つです。


行き付けの薬局で在庫していないお薬が、


意外に自宅近くの薬局であった


なんて事も良くある話です。


また、薬局からお問い合わせしてお薬があることが分かった場合は


ご紹介して行って頂くこともあります。


⑥市販薬で対応する

症状が軽い場合は市販のお薬で様子を見てみましょう。


市販のお薬の中には、病院で処方されるお薬と同じ成分の物もあります(含有量は異なることがあります)。


不安な場合は店舗スタッフや薬剤師に相談しましょう。


まとめ


調剤薬局では、いつも服用されているお薬を


なるべく変えずにお渡し出来るよう、


上で挙げた①②③(もしくは⑤)のような対応策が優先的に取られています。


どうしても手に入らない場合は、


患者様と処方医に同意を得た上で③の対応策が取られます。


そして、そのためには代替薬の検討は勿論、


・医薬品卸売業者への入庫確認
・他薬局への在庫の確認
・処方医への変更依頼
・次回処方分の確保


などの作業も同時に行われていることを


皆さんにも知って頂きたいのです。


お薬が確保出来ず、代替薬もすぐに決まらない場合は


やむを得ず、そのお薬だけ後でのお渡しになってしまうこともあります。


しかし、それは薬局の怠慢でないことだけはご理解頂きたいと思います。


ただし、万が一


・お薬が変わってから体調が悪くなった
・お薬が変わってから湿疹が出た(悪化した)
・お薬が変わってから効き目が悪くなった


といった事がある場合は、遠慮せずお早めに病院又は薬局へ申し出て下さい。

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