べじぶろぐ 〜健康への道しるべ〜

健康ついての情報や知識をまとめています。

#0011 酒は百薬の長!?

皆さんこんにちは!ベジ(Vegi)です。

今回のテーマは「お酒」です!

「お酒は節度を守って程々に!」
「飲んでも飲まれるな」
「少量ならむしろ身体に良い」

等々、様々な言われ方をされているお酒ですが、

実際、身体にどんな影響があるのか?

メリットとデメリットをまとめました!



①お酒に含まれる成分は?

アルコール(エタノール

「酔い」の原因となる成分。
「%」「度数」で表示されている。

糖類

お酒の原料に由来する成分。
ビールは麦、日本酒や焼酎は米・麦・芋など、
ワインやシャンパンはブドウに含まれる
「デンプン」「果糖」がこれにあたる。

アミノ酸たんぱく質

お酒の旨味成分。
含まれる量は微量だが、旨味の元となる。

ビタミン・ミネラル

日本酒はビタミンB6、マンガンモリブデンなど、
ビールはナイアシン、ビタミンB6、マグネシウムなど、
ワインはビオチン、クロム、モリブデンなど。


②お酒のメリット

動脈硬化を抑える

アルコールには善玉(HDL)コレステロール
増やす効果がある
ことが知られています。
これにより、相対的に悪玉(LDL)コレステロール
が減少することで、血管の壁にコレステロール
貯まりにくくなり、動脈硬化のリスクが
抑えられる
とされています。

リラックス効果がある

アルコールは大脳新皮質の機能を抑制します。
その結果、理性で抑えられていた感情が表に出やすく
なり、緊張がゆるみます。
また、ドーパミンの分泌を促す効果もあります。
これにより気分が高揚し、楽しい気分になるのです。


③お酒のデメリット

血圧を上げる

大量のアルコールは交感神経を興奮させる作用が
ある事が分かっていて、これが血圧の上昇に繋がって
いるとされています。

脱水症状を引き起こす(利尿作用がある)

アルコールには体液を維持するホルモン(抗利尿
ホルモン)の働きを抑える
作用があります。
お酒を飲むとトイレが近くなるのはこのためで、必要以上に水分が
出ていくので、こまめに水分も摂っておかないと
脱水症状を引き起こしてしまいます。

肝臓に負担をかける

アルコールは速やかに肝臓で分解されますが、
大量に摂取すると肝臓に大きな負担がかかり
肝臓の機能を低下させる原因となってしまいます。

また短時間で多量のアルコールを摂取すると,、肝臓で代謝し切れなかったアルコールがそのまま血液中に残り
「急性アルコール中毒を引き起こします。


<急性アルコール中毒の症状>
血中アルコール濃度が300~400mg/dL(65.1~86.8mmol/L)となるとしばしば意識不明になり、血中アルコール濃度が400mg/dL以上(≥ 86.8mmol/L)となると死亡することがあります。呼吸障害または心拍リズムの異常(不整脈)による死は、特に急激に大量飲酒した際に起こる可能性があります。大量の飲酒により、 低血圧や 低血糖が引き起こされることがあります。
(MSDマニュアル家庭版より引用)

④まとめ

このように、お酒には 身体には良い面も悪い面も
両方ある
ことが分かるかと思います。
尚且つ、デメリットに共通するのは、
お酒を「飲み過ぎた」時に起こりやすい事です。
お酒の席でのいざこざや飲酒運転での事故など、
お酒を巡るトラブルも飲み過ぎによる事が多いですよね。

お酒を食事に取り入れる場合は、
その両面を良く理解した上で、

「節度を守って」「ほどほどに」

することが何より大切です!

ではまた!



参考にした情報
カロリーSlism (https://calorie.slism.jp/
若林一郎. 飲酒と動脈硬化性疾患. 生活衛生2004 ; 48: 387-395
厚生労働省e-ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-003.html

#0009 体温が下がると免疫は???


皆さんこんにちは!Vegiです。

「体温が下がると、免疫力が落ちる」

「体温を上げて免疫力アップ」

という話を聞いた事、ないでしょうか?

ネットで検索しても、このような

記事がたくさん出てきます。

しかし、このような話に

「医学的根拠がない」とする記事も

出てきます。

では、なぜこのような話が出ているのか?

体温と免疫は無関係なのか?

今回は、体温と免疫の関係について、

掘り下げたいと思います!

①「免疫」の機能はとっても複雑!


「免疫」とは「疫」から「免れる」と読むように、
外から入ってきた菌やウイルスなどから身を守る事が
大きな役割の一つです。

それ以外にも、
普段から私達の身体に住み着いている
「常在細菌」の異常な増殖の抑制や、
何らかの異常が起きて正常に働かない細胞や
ガン化した細胞を破壊する役割もあります。


これには、

「外からの異物を認識する」
「自分と自分以外の物を見分ける」
「菌や細胞が増えないようにする」

といった高度な機能を備えた沢山の白血球など
の細胞が、非常に複雑なネットワークを作り
連携を取っているからこそできる
「仕組み」なのです。


そんな免疫機能はどんな時に亢進したり、
また低下したりするのでしょうか?


②体温と免疫の実際

そもそも風邪の時に熱が出るのは何故??

免疫と体温と聞いてまずイメージされるのは、
風邪を引いた時熱が出ることではないでしょうか?

では何故熱が出るのか?

それは、白血球などの免疫細胞が
「サイトカイン」と呼ばれる物質を産生し、
脳に「体温を上げろ」という指令を出しているからです。
これにより、菌やウイルスの活動を低下させたり、
寿命を縮めて、増えるのを抑えようとします。

このサイトカインには様々な種類があり、
その中には、免疫細胞自体の
働きを高めるもがもあります。

つまり、「熱が出たとき」には、
白血球の働きは活発になっている
と言えます。


体温低下時に起こる事

では、体温が低下した時はどうか?

身体の中心部の温度が35度を下回ると、
「低体温症」と呼ばれ、その症状として、

代謝機能が低下する
・血管が収縮し血行が悪くなる
・消化管の機能が低下する
(消化不良や食欲不振となる)
・脳機能が低下する(意欲、集中力が低下する)
・免疫機能が低下する

といった事があげられています。

参考:大阪府薬雑誌 Vol.61, No.6 (2010)

この事から、体温が低下すると
身体の様々な機能が低下する事が分かります。
その結果、身体に必要なエネルギーが不足し、
免疫細胞も本来の能力が発揮できなくなると
考えられます。


③「免疫力」とは何か?

科学的根拠がないとされる理由の一つに、
「免疫力」という言葉の曖昧さが上げられます。

先述したように免疫機能は非常に複雑な
ネットワークで作られた「仕組み」です。

免疫のシステムについてはこちらの記事
解説しています。

例えば、貪食細胞の能力がいくら高くても、
T細胞が少ないと免疫力が高いとは言えません。

T細胞の数が多くても、B細胞の抗体産生能力が
低いと免疫力が高いとは言えません。

また、T細胞の能力が異常に高くなると、
自分の組織を攻撃する事もあります。

このように、
様々な細胞がバランスを取り合って複雑な
「仕組み」を作り上げているのが「免疫機能」
であることから、「免疫力」という言葉が
いささか正確でない事がお分かりかと思います。

免疫機能はそう単純に上がり下がりするものでは
ないのです。

体温と免疫機能の関係性は
一言では説明できるものではありません。
しかし、②で述べたような事から、何となく
体温が上がる=免疫力Up
体温が下がる=免疫力Down
というイメージが定着したものと推測されます。


④結論

結果として、免疫機能を「亢進させる」と言うより
「低下しないようにする」にはどうすれば良いか?

→身体の代謝機能が下がらない様にする
=体温が下がらない様にする

という事が言えます。

具体的には、

・防寒対策をこまめに意識する
・冷たい飲食物を摂り過ぎない
・エアコンの効いた場所に長居しない
・適度に運動して代謝促進
・暴飲暴食を控える
・過度なダイエットを控える

などが上げられます。



いかがでしたか?
免疫機能の事が少しでもお分かり頂けましたでしょうか?
私達の身体は常に有害物質に晒されているものです。
免疫機能が適切に働いてくれるよう、
いかに知識を深め、日頃から対策を取っておくか。
それが私達の「免疫力」ではないでしょうか。

#0008 正しく知ろう!「血圧」と「塩」の関係


皆さんこんにちは!Vegi(べじ)です。

今や日本人の3人に1人と推定される「国民的疾患」
それが「高血圧」です。


人間ドックや健診で高血圧を指摘され、


「塩分に気を付けて」
「減塩しましょう」


と言われている方も多いと思います。

でも、


「減塩、減塩と言うけど実際どうなの??」


と思っていらっしゃる方、
多いんではないでしょうか?


今回は、そんな疑問を解消すべく、
血圧と塩分の関係について見て行きます!

塩分と血圧は無関係!?

皆さんの中に、


「塩分の摂取と血圧は関係ない」


このような事をお聞きになった方も
いらっしゃるのではないでしょうか?

実はこれは正しくありません。


「大いに関係ある人と、さほど関係ない人がいる」


と言う方が正確です。

つまり、塩分摂取によって、
血圧が上がりやすい人と、上がりにくい人がいる
という事です。これは「食塩感受性」と呼ばれ、

日本人では
 

 20%が食塩により血圧が上がりやすい=「感受性」
 (減塩により血圧が下がりやすい)
 
 30%が食塩と他の要因が重なったとき血圧が上がりやすい
 
 残り50%が食塩を摂取しても血圧が上がりにくい
 (減塩により血圧が下がりにくい)=「非感受性」

という研究結果も出ています。


また、同じ人でも、環境や時によって
食塩感受性が変わる事があり、
仮に食塩感受性が低くても、

「塩分をとっても血圧が上がりにくいから大丈夫」

とは一概に言えないのです。


塩分の体内での役割は?

そもそも塩分は、


・体内のミネラルの「濃さ」の調節

・酸性とアルカリ性のバランスの調節

・消化吸収のサポート

・神経、筋肉の情報伝達のサポート


などの役割があり、
身体に無くてはならない成分です。

そして、私たちの身体には、塩分の「濃さ」が
常に一定になるよう保つ働き
が備わっています。
塩分が濃くなりすぎても、薄くなりすぎても
様々なトラブルが起こってしまうからです。


そして、この事が血圧の調節に深く関係しています。


塩分を摂りすぎるとどうなるのか?


塩分と水分は一緒に移動する

ここで重要なのが、塩分と水分の関係です。

塩分の濃さが一定に保たれているのは、
塩分に"水分を引き寄せる力"があり、
塩分と一緒に水分も移動しているからです。

つまり、塩分摂取が増えて
血液中の塩分濃度が上がると、
身体の水分が血液中へ引き寄せられ、
血液の量が増えて血圧が上がる

という事です。


塩分の排泄と再吸収

また、余分な塩分は腎臓で排泄されています。

腎臓では血液がろ過されて、
老廃物と共に尿として排泄されます。

多量の塩分摂取により、余分な塩分が増えると、
腎臓への負担がそれだけ大きくなり
ます。

この状態が続くと、 腎臓が疲弊してしまい
腎臓の働きがかえって悪くなってしまう
のです。


塩分だけじゃない!血圧を上げるもの

塩分以外の高血圧の原因としては

・ストレス
・脂質の多い食事
・タバコ
・アルコール
・睡眠不足
・運動不足
・薬剤

などがあります。詳しくはこちらのコラム↓
でも解説していますので、是非ご覧下さい!

Coming soon


まとめ

いかがでしたでしょうか?

塩分と血圧との間には、
切っても切れない関係性があるのです。

なので、仮に食塩非感受性であっても、
食塩を摂り過ぎないようにする事は
高血圧の予防に一定の効果があると
されているのです。

引用文献:食塩と高血圧 藤田敏郎著 日本医学出版
Fujita T et al :Am J med 69:334~344,1980

【健康事典】《第09章ー皮膚》身体の"第一関門"!

第09章では皮ふ組織について分かりやすく解説します。


皮ふ組織は細菌やウイルスなどの外敵から


身を守る、正に"第一関門"としての役割があります。


また、角質や汗と共に老廃物を排泄したり、


温度や痛みなどの感覚を感じ取ったりする


役割もあります。


そんな皮膚の構造や働きについて、


具体的に見ていきます。


構造と役割

※クリックで拡大

皮膚組織は、外側から

「表皮」「真皮」「皮下組織」

3つの層が重なってできています。


 

表皮

 表皮はさらに

 「角層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」

 の4つの層に別れています。

  

角層

  「角層細胞」が約20層重なってできています。
  角層細胞とは、死んで硬くなった皮ふ細胞の事で、
  細胞の膜が分厚く、「ケラチン繊維」という丈夫な
  繊維を豊富に含んでいます。


  角層の役割は、「バリア機能」です。
  主に次の3つの作用があります。

   角層の内側の水分の蒸発を防ぐ(保湿作用)

  外からの異物(細菌やアレルゲンなど)の侵入を防ぐ

  紫外線の刺激から身を守る


  

顆粒層

  「ケラトヒアリン顆粒」と呼ばれる
  小さなツブツブでできています。

  役割は「角層のサポート」です。

  光を反射し、紫外線の侵入を防ぐ

  角質の保湿成分の材料を作る

  という2つの働きがあります。


  

有棘層

  有棘細胞という棘(とげ)のある細胞が
  約10層重なってできています。

  ここには、免疫細胞の一種である
  「ランゲルハンス細胞」という細胞が存在していて、
  外から侵入してきた異物の情報を脳に伝える
  という役割があります。


  

基底層

  表皮の一番したにある層で、1層の細胞でできています。

  皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)の

  スタート地点となる場所で、

  「角質細胞の産生」「メラニン色素の産生」

  が行われています。


  主に「ケラチノサイト」「メラノサイト」「メルケル細胞」

  の3種類の細胞で構成されています。


   ケラチノサイト

    角質細胞の元になる細胞で、
    ケラチノサイトが分裂を繰り返す事により、
    角質細胞が産生されています。


   メラノサイト

    メラニン色素を産生することで、
    真皮を紫外線から守る役割があります。


   メルケル細胞

    指先や手のひら等の
    感覚が敏感な部位に多く存在し、
    「やさしく触られた感覚」を
    脳に伝える
役割があります。


 

真皮

 表皮の下にあり、皮膚の大部分を占める層です。

 「エラスチン」「コラーゲン」

 2種類の繊維でできていて、

 肌の弾力やハリを産み出しています。

 また、繊維の隙間を埋めているのが

 ヒアルロン酸「コンドロイチン硫酸」

 です。水分をたくさん含むゼリー状の物質で、

 肌のうるおいを保つ役割があります。


 また、真皮には血管や神経も走っており、

 触覚や痛覚、温感などの感覚の受け皿である

 「感覚受容器」や、

 毛髪の生える場所である「毛包」

 発汗作用により体温調節を担う「汗腺」

 もこの場所にあります。

 

皮下組織

 皮膚の一番下の層で、

 大部分が脂肪細胞でできています。

 脂肪細胞には、

 必要なエネルギーを脂肪として貯蓄したり、

 外部からの衝撃から内臓を守るクッション

 としての役割があります。


また、太い血管や神経も通っていて、


真皮や表皮に栄養を供給しています。


皮ふ細胞の一生

私達の皮膚は、常に古い細胞が
新しい細胞に入れ代わっています。

皮膚細胞は、基底層の
ケラチノサイトの分裂により産生されます。

その後、「有棘細胞」→「顆粒細胞」
と分化・成熟しながら、上の層へと移動していきます。
そして、一生を終えた皮膚細胞は「角層細胞」となり、
最後には垢となって角層から剥がれます。

この一連のサイクルを、皮膚の
「新陳代謝(ターンオーバー)」
と呼んでいます。


まとめ

皮膚は、私達の身体を守るだけでなく、

様々な感覚を伝えたり、体温調節や

老廃物を排泄する役割があったりと

とても重要な役割がたくさんあります。


そんな皮膚を美しく保つ事も

健康の一つと言えるのです。

【健康事典】《第10章ー免疫》 防御の要!免疫機能

私達の身体は常に、

細菌やウイルスなどの病原体や紫外線、化学物質といった

「身体にとって有害な物質」に晒されています。

それらの脅威から身を守るために備わっている

仕組みを「免疫」と呼んでいます。

第0章ー10では、そんな免疫機能について

分かりやすく解説します。

①代表的な免疫機能による作用


私達の身体は、風邪や感染症、アレルギーなど
異物に晒されると様々な症状が発現します。


例えば、鼻やのどに異物が入って来ると、
体内に入れないように鼻水が出ます。


また、鼻水や咳は体内で処理された異物の
排泄時にも起こります(この時は黄色っぽい鼻水
痰を伴う咳となります。)

食べたものに有害な物質や雑菌があると、
それを排泄しようと嘔吐下痢を引き起こします。

実はこれらの症状は、
異物を身体から排除しようとする
免疫機能によるものです。

②免疫機能の基本的なメカニズム

※クリックで拡大

貪食細胞と抗原提示(自然免疫)

身体に異物(細菌やウイルス)が侵入すると、
まず能力を発揮するのが、
「樹状細胞」「マクロファージ」とよばれる細胞です。
異物を認識すると積極的に細胞内へ取り込みます。
そして細胞内で合成した「活性酸素」によって
異物を分解します。

この働きが、異物を"食べて"いる様に見える事から、
「貪食(どんしょく)細胞」とも呼ばれています。

また、マクロファージには、分解した異物の一部を細胞表面に出し、
他の細胞に情報として伝達する働きもあります。
これは「抗原提示」と呼ばれます。

この一連の働きは、生物には本来備わっている
機能であることから、「自然免疫」と呼ばれます。


T細胞の働き(獲得免疫)

抗原提示を受けるのは
主に「ナイーブヘルパーT細胞」と呼ばれる細胞です。

異物の情報を受け取ったナイーブヘルパーT細胞は、

「1型ヘルパーT細胞(Th1細胞)」
「2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)」
「17型ヘルパーT細胞(Th17細胞)」

の3種類の細胞へと変化し、
それぞれに異なる役割を果たします。

1型ヘルパーT細胞
細胞を直接攻撃し死に至らしめる
「キラーT細胞」を活性化させる。
ウイルスが感染した細胞、ガン細胞に対して
その能力を発揮する。


2型ヘルパーT細胞
「抗体」を産生し、貪食細胞の働きを促す
「B細胞」を活性化させる。
細菌やウイルス、アレルゲンなどに対して
効果を発揮する。

17型ヘルパーT細胞
粘膜や消化管、血管の表面に「好中球」
呼び出し、外からくる異物の排除を促す。

T細胞がどのタイプに変化するかは、
異物の種類によって決まっています。

また、これらT細胞の働きに程よくブレーキをかけ、
コントロールする「制御性T細胞(Treg)」と呼ばれる
細胞もあります。

これらの働きは、異物の情報を「獲得して」初めて
機能する事から、「獲得免疫」と呼ばれます。


免疫記憶

一部の免疫細胞には、一度入ってきた異物の
情報や攻撃方法を記憶する能力が備わっています。
これにより、2回目以降は1回目より早く
異物を排除することが出来るのです。

この能力はT細胞やB細胞のみが持つとされていましたが、
近年の研究では、自然免疫にもあると言うことが
明らかになっています。


B細胞の働き

2型ヘルパーT細胞により活性化したB細胞は、
「形質細胞」と呼ばれ、「抗体」を産生する事が
出来るようになります。
抗体は異物ごとに専用に作られます。
作られた抗体は異物に結合し、これが目印となり
マクロファージなどの異物の排除の助けとなります。


自己免疫疾患

そんな免疫機能も、完璧ではないことがあります。
遺伝子に何らかの異常があると、免疫細胞の
攻撃の対象が自分の組織に向いててしまうことが
あります。攻撃された組織は壊され、
周囲に重い炎症を引き起こします。
このような異常を引き起こす疾患は
「自己免疫疾患」とよばれ、

・関節リウマチ
・全身性エリテマトーデス
バセドウ病
1型糖尿病

などがあります。

まとめ

免疫機能の仕組みはとても複雑で、本ブログで解説しているのは
その代表的な一部分にすぎません。
まだ分かっていない部分もあり、研究が続けられています。
本章では専門用語を多用しているため、以下にそれについてもまとめています。


専門用語一覧

樹状細胞 貪食細胞の一種。異物を取り込んで排除する。
抗原提示能力は持たない。
マクファージ 貪食細胞の一種。異物を取り込んで排除する。
抗原提示能力を持つ。
貪食 異物を細胞内に取り込み、活性酸素を産生して
異物を破壊する排除の仕組み。
抗原提示 取り込んだ異物の一部を細胞表面に出し、
T細胞などに認識させる仕組み。
ナイーブヘルパーT細胞 変化する前のヘルパーT細胞。抗原提示を
受けて1型、2型、17型に変化する事ができる他、
Treg細胞にも変化できる。
1型ヘルパーT細胞 キラーT細胞を活性化させる役割をもつ。
2型ヘルパーT細胞 B細胞を活性化させる役割をもつ。
17型ヘルパーT細胞 粘膜や消化管、血管の表面に好中球を
呼び出す役割をもつ。
好中球 粘膜や消化管、血管の表面に駆け付け
異物を排除する貪食細胞の一種。抗原提示
能力は持たない。
自然免疫 貪食細胞による異物排除の仕組みで、
多くの生物に元来備わっている。
獲得免疫 キラーT細胞による細胞の破壊やB細胞による
抗体産生など、生物が異物の情報を得て初めて
獲得する免疫の仕組み。昆虫や甲殻類などの
無脊椎動物には備わっていない。

〈参考文献〉 Yoshida K, Maekawa T, Zhu Y, Renard-Guillet C, Chatton B, Inoue K, Uchiyama T, Ishibashi K, Yamada T, Ohno N, Shirahige K, Okada-Hatakeyama M, and Ishii S., "The transcription factor ATF7 mediates lipopolysaccharide-induced epigenetic changes in macrophages involved in innate immunological memory", Nature Immunology, doi: 10.1038/ni.3257

#0010 これで冬も万全!身体を温める食べ物5選

皆さんこんにちは☺️Vegiです!

身体が冷えると、代謝機能が衰えたり、

風邪を引きやすくなったりと

様々なデメリットがあると

言われていますよね。

特に、

「私、冷え性なんです🥶」

という方にとっては深刻な問題です。

今回は、身体を芯から温めてくれる

食べ物をご紹介!

冷え性持ちの方は必見です!!


①ショウガ(生姜)

身体を温める食べ物の代表格と言えばショウガですよね。
ショウガに含まれる「ショウガオール」

には
血行促進作用
があり、血行不良による冷えや
代謝機能の低下を改善してくれます[1]

ただし!「ショウガオール」は生のショウガより、
乾燥したり加熱したショウガに多く含まれています。

生姜湯やしょうが焼きなど加熱料理にしたり、
ショウガ粉末を利用するとより効率良く
ショウガオールを摂り入れることが出来ます。

②トウガラシ

トウガラシに含まれるカプサイシンには、
中枢神経に働き、アドレナリンの分泌を促す
作用
があります[2]

これにより交感神経が活性化し、
代謝機能や心臓の機能が高まります

その結果、血行が改善し体温が上昇します。

③カボチャ

カボチャは他の野菜と比べて断トツに
「βカロテン」「ビタミンC」「ビタミンE」
の豊富な緑黄色野菜の一つで[3]
特にビタミンEには血行促進作用があり、
血流低下による冷えに効果があります。

また、この3つは「抗酸化ビタミン」とよばれ、
活性酸素を除去してくれるので、血管の老化を
防止する効果
も期待出来ます。

④発酵食品

発酵食品には酵素
乳酸菌などの「善玉菌」が含まれています。

酵素は食べ物の分解を助け、栄養素の吸収を
促す働きがあります。

善玉菌は胃酸に晒されるとほとんど死滅してしまいますが、
その死骸は腸内の善玉菌のエサとなり善玉菌の働きを助けます。
生きて腸に届いた善玉菌は、悪玉菌が増えるのを防いでくれます
また、腸内の免疫細胞を活性化し、
免疫機能を高めてくれる効果もあります[4]

これらの作用により身体の代謝機能が高まる事が
体温の上昇に繋がっている
と考えられています。

朝食ならヨーグルトや納豆、
主菜にキムチ料理(豚キムチやキムチ鍋など)
汁物には味噌汁
お酒ならワインなど。
毎日の食事に一品でも、発酵食品を
取り入れてみては如何でしょうか?

⑤ネギ類

ネギ類(白ネギ、玉ねぎ、ニンニクなど )に含まれ、
独特の香りや辛味の元になっている成分に
「アリシン」があります。
油で加熱することによりアリシンから出来る
「アホエン」には、 血栓を予防する作用があり
血流の改善効果があると言われています。

また、ビタミンB1と結合して吸収を高めてくれる
働きもあり、疲労回復や代謝機能アップにつながる

効果も期待出来ます[5][6]


まとめ

一般的に、食品は
体を温めるもの(=温熱性食品)
体を冷やすもの(=寒涼性食品)
どちらでもないもの(=平性食品)

の3種に分類されます。
今回はその中でも温熱性食品に分類される
代表的な物を5つご紹介致しました。

冷え性でお悩みの方は
ぜひ食事に取り入れてみて下さいね\(^o^)/

ではまた!



〈参考にした文献・サイト〉
  1. ^わかさの秘密/ジンゲロール
    https://himitsu.wakasa.jp/contents/gingerol/
  2. ^農林水産省/カプサイシンに関する情報
    https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/capsaicin/
  3. ^カロリーSlism»野菜»かぼちゃ
    https://calorie.slism.jp/106048/
  4. ^e-ヘルスネット > 栄養・食生活 > 栄養素等のはたらき > 腸内細菌と健康
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
  5. ^わかさの秘密 トップ>アリシン
    https://himitsu.wakasa.jp/contents/allicin/
  6. ^ニンニクの健康増進作用を増強させるための加工・保存技術の開発
    https://www.urakamizaidan.or.jp/research/jisseki/2007/vol16urakamif-03akagawa.pdf)         

【健康事典】《第08章ー骨・骨髄》人体の中枢工場!【後半】

後半では、骨の内部に存在する造血組織である

「骨髄」について分かりやすく解説します。

骨そのものについては前半にて解説しています。

前半はコチラ↓
vegi.hatenablog.com



骨髄とは?

「骨髄」とは、骨の内部に存在するゼリー状の組織です。

骨の内部には「海綿骨(海綿質)」と言う
スポンジのような網目のある組織があります。
その網目部分に詰まっているのが骨髄です。

※クリックで拡大

骨髄に含まれる成分

「細網繊維」と種々の「造血細胞」「間質細胞」が含まれます。


細網繊維

細網繊維とは、コラーゲンで出来ている繊維の事で、
細かく枝分かれしていて網の目状になっています。
「細網細胞」により合成されます。
骨髄以外にもリンパ節や脾臓、肝臓など様々な組織に
存在し、細胞や臓器の基盤となる役割があります。


造血細胞

赤血球や白血球、リンパ球の元になる細胞。
「造血幹細胞」という一つの細胞から、種々の
血球やリンパ球が作られます。


間質細胞

それぞれの組織をつなぎ止めて支える役割をもっています。
また、造血細胞の成長に必要な物質を分泌したり、
出来上がった血球を血液中へ放出するのを
コントロールしたりと、多くの作用を持ち合わせています。


骨髄には2種類ある

骨髄には、造血細胞を多く含み造血作用がある「赤色骨髄」と、
脂肪細胞が多く含み、造血作用がない「黄色骨髄」があります。
ヒトの骨髄は出生時にはほとんどの部位が赤色骨髄ですが、
加齢とともに間質細胞の一部が脂肪細胞になり、
黄色骨髄へ変化します。



造血(血球産生)のメカニズム

分化と自己複製

血液中の成分のうち、赤血球や白血球などの
「血球成分」を産生するのが骨髄の主な役割です。

骨髄には、すべての血球の元となる「造血幹細胞」
が存在し、成長することで
赤血球、白血球、リンパ球、血小板などへ変化します。
このような細胞の変化は「分化」と呼ばれています。

また、造血幹細胞自身も分裂して、新たに
造血幹細胞を作り出すことも出来ます。
これを「自己複製」と言います。

造血幹細胞は
自己複製を繰り返しながら
複製した一方が分化する事で、
未分化の状態を維持しながら、
様々な機能を持つ細胞を
産生し続けている
のです。


造血幹細胞の分化

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図は、造血幹細胞の分化の流れを簡単にしたものです。


造血幹細胞はまず、
「骨髄系幹細胞」「リンパ系幹細胞」
の2種類に分化します。
骨髄系幹細胞は、


「赤血球」「血小板」「顆粒球」


など主に血液中で働く細胞へ分化します。


また、リンパ系幹細胞は、


「NK細胞」「B細胞」「T細胞」など、


主に免疫を担う細胞へと分化します。


リンパ系幹細胞の一部は途中で
「胸腺」へ移動し、胸腺で成熟して
T細胞となります。


これら免疫細胞の役割や働きは、第0章ー12で分かりやすく解説していますのでこちらをご参照ください。

http://vegi.hatenablog.com/entry/healthpedia.000012vegi.hatenablog.com
 

造血に関係する色々な疾患

何らかの原因で造血幹細胞や分化の過程で

異常が生じると、様々な疾患を

引き起こす事があります。


再生不良性貧血

肝炎やウイルス、薬剤などが原因で
骨髄系幹細胞が傷ついて分化出来なくなった疾患。
赤血球、白血球、血小板が減少。


白血病

遺伝子の異常が原因で、
分化途中の未熟な細胞が「がん化」し、
異常に増えてしまう疾患。

増えた細胞が骨髄内を占領してしまうため、
正常な赤血球や血小板は減少。

白血球は、がん化する細胞の状態や種類により
大きく4種類に分類されています。


「慢性」:分化する能力はあるが、
バランスを無視して増殖している状態。
症状は緩やかに進行する。


「急性」:分化する能力を失い、
未熟な細胞が増殖している状態。
症状は急速に進行する。


「骨髄性」:いずれ好中球や単球になる細胞が
がん化した状態。


「リンパ性」:いずれリンパ球になる細胞が
がん化した状態。


これらの特性を組み合わせて、


慢性骨髄性白血病CML)」
「慢性リンパ性白血病(CLL)」
急性骨髄性白血病(AML)」
急性リンパ性白血病(ALL)」


の4種類に分類されています。


多発性骨髄腫

Bリンパ球が活性化した「形質細胞」が
がん化
し、異常に増えてしまう疾患。
骨髄腫細胞が分泌する物質により

破骨細胞が活性化し、骨が溶かされすくなる
・溶かされた骨により血液中にカルシウムが増える
・異常なたんぱく質が産生され、これを排泄する腎臓がダメージを受けやすくなる
・腎臓や骨髄へのダメージにより赤血球が作られにくくなる

等の様々な悪影響が起こります。


次章は…

骨髄で作られた免疫細胞の働く場の一つである
「皮膚」について、分かりやすく解説しています。

次章はコチラ↓
https://vegi.hatenablog.com/entry/healthpedia.00009avegi.hatenablog.com

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