皆さんこんにちは!Vegiです。
「体温が下がると、免疫力が落ちる」
「体温を上げて免疫力アップ」
という話を聞いた事、ないでしょうか?
ネットで検索しても、このような
記事がたくさん出てきます。
しかし、このような話に
「医学的根拠がない」とする記事も
出てきます。
では、なぜこのような話が出ているのか?
体温と免疫は無関係なのか?
今回は、体温と免疫の関係について、
掘り下げたいと思います!
①「免疫」の機能はとっても複雑!
「免疫」とは「疫」から「免れる」と読むように、
外から入ってきた菌やウイルスなどから身を守る事が
大きな役割の一つです。
それ以外にも、
普段から私達の身体に住み着いている
「常在細菌」の異常な増殖の抑制や、
何らかの異常が起きて正常に働かない細胞や
ガン化した細胞を破壊する役割もあります。
これには、
「外からの異物を認識する」
「自分と自分以外の物を見分ける」
「菌や細胞が増えないようにする」
といった高度な機能を備えた沢山の白血球など
の細胞が、非常に複雑なネットワークを作り
連携を取っているからこそできる
「仕組み」なのです。
そんな免疫機能はどんな時に亢進したり、
また低下したりするのでしょうか?
②体温と免疫の実際
そもそも風邪の時に熱が出るのは何故??
免疫と体温と聞いてまずイメージされるのは、
風邪を引いた時熱が出ることではないでしょうか?
では何故熱が出るのか?
それは、白血球などの免疫細胞が
「サイトカイン」と呼ばれる物質を産生し、
脳に「体温を上げろ」という指令を出しているからです。
これにより、菌やウイルスの活動を低下させたり、
寿命を縮めて、増えるのを抑えようとします。
このサイトカインには様々な種類があり、
その中には、免疫細胞自体の
働きを高めるもがもあります。
つまり、「熱が出たとき」には、
白血球の働きは活発になっている
と言えます。
体温低下時に起こる事
では、体温が低下した時はどうか?
身体の中心部の温度が35度を下回ると、
「低体温症」と呼ばれ、その症状として、
・代謝機能が低下する
・血管が収縮し血行が悪くなる
・消化管の機能が低下する
(消化不良や食欲不振となる)
・脳機能が低下する(意欲、集中力が低下する)
・免疫機能が低下する
といった事があげられています。
参考:大阪府薬雑誌 Vol.61, No.6 (2010)
この事から、体温が低下すると
身体の様々な機能が低下する事が分かります。
その結果、身体に必要なエネルギーが不足し、
免疫細胞も本来の能力が発揮できなくなると
考えられます。
③「免疫力」とは何か?
科学的根拠がないとされる理由の一つに、
「免疫力」という言葉の曖昧さが上げられます。
先述したように免疫機能は非常に複雑な
ネットワークで作られた「仕組み」です。
免疫のシステムについてはこちらの記事で
解説しています。
例えば、貪食細胞の能力がいくら高くても、
T細胞が少ないと免疫力が高いとは言えません。
T細胞の数が多くても、B細胞の抗体産生能力が
低いと免疫力が高いとは言えません。
また、T細胞の能力が異常に高くなると、
自分の組織を攻撃する事もあります。
このように、
様々な細胞がバランスを取り合って複雑な
「仕組み」を作り上げているのが「免疫機能」
であることから、「免疫力」という言葉が
いささか正確でない事がお分かりかと思います。
免疫機能はそう単純に上がり下がりするものでは
ないのです。
体温と免疫機能の関係性は
一言では説明できるものではありません。
しかし、②で述べたような事から、何となく
体温が上がる=免疫力Up
体温が下がる=免疫力Down
というイメージが定着したものと推測されます。
④結論
結果として、免疫機能を「亢進させる」と言うより
「低下しないようにする」にはどうすれば良いか?
→身体の代謝機能が下がらない様にする
=体温が下がらない様にする
という事が言えます。
具体的には、
・防寒対策をこまめに意識する
・冷たい飲食物を摂り過ぎない
・エアコンの効いた場所に長居しない
・適度に運動して代謝促進
・暴飲暴食を控える
・過度なダイエットを控える
などが上げられます。
いかがでしたか?
免疫機能の事が少しでもお分かり頂けましたでしょうか?
私達の身体は常に有害物質に晒されているものです。
免疫機能が適切に働いてくれるよう、
いかに知識を深め、日頃から対策を取っておくか。
それが私達の「免疫力」ではないでしょうか。