第05章では、肝臓について見ていきます。
肝臓は実に多種多様な働きをする、まさに“超仕事人”です!
そんな肝臓がどんな構造になっているのか、
どんな働きをしているのか、分かりやすく解説しています。
【構造】人体のハニカム構造!~肝臓の細胞~
肝血管の構造
肝臓には「大動脈」「門脈」「大静脈」が通っていて、一分あたり約1.5Lもの血液が流れています。
「大動脈」からは、心臓から来た血液により、肝臓が代謝などで消費する酸素の50%が供給されます。
「門脈」は腸管と繋がっており、ここからは、酸素の残り50%と、腸管から吸収した栄養素が流入します。
肝臓を通った血液は「大静脈」から出て、再び心臓へ戻っていきます。
肝小葉
肝臓は「肝細胞」という細胞と血管が集まって出来ています。
中心静脈の周囲に約50万個の「肝細胞」が集まって、
1つのエリアを作っています。これを「肝小葉」と言います。
肝小葉は六角柱の形をしており、肝臓全体では45~50万個あります。
また、肝小葉と肝小葉の間には、静脈(門脈)・動脈・胆管が、中心には中心静脈が通っており、
栄養素のやり取りや胆汁の分泌(後述)を行っています。
【肝臓の役割(概説)】超仕事人!肝臓の役割
肝臓には実に多種多様な役割があり、
今現在分かっているだけでも500種類にのぼります。
今回はそんな肝臓の働きを大まかに3つに分けて
見ていきます。
代謝作用
食べ物から吸収した栄養素は、門脈という血管を通って肝臓に入ってきます。肝臓ではその栄養素を身体で使える形に変えて貯蔵しています。これを「代謝」と呼びます。
糖質 (グルコース) |
グルコースを分解することで、生命活動に必要なエネルギーを 作り出す。また、余ったグルコースを「グリコーゲン」として 蓄える。血液中のグルコースが減ってくると、 グリコーゲンを分解してグルコースを血液中に放出する。 |
脂質 (脂肪酸/グリセリン) |
消化管で分解によって出来た脂肪酸とグリセロールは肝臓に運ばれた後、エネルギー源やリポタンパク質の材料となる。 余った分は再び組み立てられ、脂肪として蓄えられる。 |
タンパク質 (アミノ酸) |
「リポタンパク質」「アルブミン」「血液凝固因子」の原料になる。 リポタンパク質:食べ物から吸収した脂質を肝臓や全身へ運ぶための物質。 アルブミン:血液中の水分の量を決めたり、色々な物質と結合して身体の各部分へ運ぶ。 血液凝固因子:出血した時に血を止めるための物質。 これらのタンパク質の合成も肝臓で行われます。 |
解毒作用
私たちの身体には、有害な物質も入ってきます。アルコールや薬剤を摂取した時や代謝の際にも有害な物質が生じる事があります。
また、身体の働きに伴って全身の細胞で老廃物(アンモニアやプリン体など)が生成されます。
これらの物質を分解したり、形を変えたりし、害が少なく排泄しやすいようにしています。
胆汁の合成・分泌
脂質を吸収するために必要不可欠な物質が「胆汁」です。
肝臓は胆汁を合成・分泌する器官でもあります。
コレステロールから胆汁の元である「胆汁酸」を合成します。合成された胆汁酸は胆管へ分泌された後、一時的に胆嚢へ溜められます。
そして、食べ物を食べた際、消化液などと一緒に胆汁として消化管内に分泌されます。