第04章では腸について見ていきます。
ヒトの腸は小腸と大腸に分かれ、食べ物の最終的な消化と水分などの吸収を担っています。
また、通称「第2の脳」と呼ばれ、腸には多数の神経が繋がっています。そのため、種々のホルモンの分泌や免疫機構に関わっていたり、ストレスの影響をとても受けやすい組織でもあるのです。
そして腸には腸内細菌が生息し、それらの機能に密接に関わっています。
前半では小腸について、後半では大腸および腸内細菌について見ていきます。
まるで絨毯!小腸の構造
吸収に特化!小腸の特徴
ヒトの小腸は全長約6~7mもあり、前半を「空腸」、後半を「回腸」と呼びます。
また、小腸の壁はヒダがあり、ヒダには栄養素などを吸収するため、「絨毛」と呼ばれる多数の突起があります。
さらに、絨毛表面にある細胞には細かな刷毛(ハケ)のようなものがたくさんついていて、「微絨毛」と呼ばれます。
この突起を全て広げると約200㎡、何とテニスコート1面分にも相当する表面積になります。
このように、絨毛があることで表面積が大きくなり、効率良く物質の吸収を行っているのです。
絨毛の構造
絨毛には栄養素などを吸収するための機構が備わっています。
絨毛の中心をリンパ管(乳び管)が、それを囲むように毛細血管が通っています。
栄養素など、ほとんどの物質はここから吸収され、毛細血管やリンパ管を通して体内へ入っていきます。
防御の要!小腸の免疫システム
腸管には所々絨毛がなく、丘のように盛り上っている場所があります。ここには、免疫細胞がたくさん集まる組織が存在しています。
この組織を「パイエル板」と呼びます。
このパイエル板には、なんと全身の免疫細胞の70%が集まっていると言われています。
小腸の内面は異物(=細菌やウイルスなど私たちの身体に有害なもの)に直接晒される場所でもあります。そのため、常に腸管に入ってくるものを監視し、異物を排除する免疫システムが備わっているのです。
これを「腸管免疫」と言います。
「免疫システム」についてはこちらでもわかりやすく解説しています。
免疫についてもっと知りたい方はこちらも読んでみてください!
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パイエル版表面には「M細胞」と呼ばれる細胞が存在し、腸管に入ってきたものを積極的に取り込み、免疫細胞(樹状細胞やマクロファージ)に受け渡します。それを異物と認識した時は、パイエル板から出て来て戦ってくれます。
また、樹状細胞はパイエル板内に存在するヘルパーT細胞に外敵の情報を伝達する役割も担っています。
情報を受け取ったヘルパーT細胞はB細胞へ指令を出し、抗体を産生させます。
マクロファージや樹状細胞が退治出来なかったものはパイエル板内に取り込まれ、抗体により処理されます。
この免疫機構は、腸内に存在する常在細菌とも密接に関わっています。
後半ではそんな腸内細菌について分かりやすく解説しています。
後半はコチラ↓
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